2010-04-01から1ヶ月間の記事一覧

 輸出が日本の雇用に与える影響

清田耕造(2010)「日本の輸出と雇用」 RIETI Disucussion Paper 10-J-029(要旨) 本論文は日本の輸出と雇用の関係を分析したものである.1975 年から2006 年の産業連関表を利用して,各産業の輸出が当該産業の雇用に及ぼす直接的な効果(直接効果)と他の産業…

微分(9)導関数の符号とグラフの形状

y=f(x)の導関数f'(x)と二次導関数f''(x)の符号を使うことによってグラフの形状を表すことができます。導関数f'(x)は、xが微小1単位増加した時のyの変化分、すなわちy=f(x)のグラフ上の点における接線の傾きの大きさを示しています*1。f'(x)の符号が正とい…

家計の行動:2財のケース(14)効用最大化への調整過程

昨日、2財のケースの効用最大化条件は限界代替率と相対価格が等しくなることだと書きました。このような効用最大化条件は、消費者がどのように消費量を調整するかによって効用を最大にするのかという過程を考えることによって理解することができます。そのた…

家計の行動:2財のケース(13)効用最大化条件

以前ここで書いたように、下図のように無差別曲線と予算制約線を重ね合わせることによって予算の範囲内で消費者の効用を最大にする消費の組み合わせを求めることができます。上図の点Aが予算範囲内で消費者の効用を最大にする消費の組み合わせを示す効用最…

微分(8)二次導関数

二次導関数とは、導関数をさらに微分したものです。y=f(x)の導関数f'(x)がxの微小1単位の増加に対するyの変化分を表しているのに対し、二次導関数はxの微小1単位の増加に対するf'(x)の変化分を表しています。二次導関数は次のような記号で表します。導関…

家計の行動:2財のケース(12)限界代替率逓減の法則

前回、スナック菓子で表したチョコの価値を示す限界代替率とは無差別曲線上の点を通る接線の傾きの絶対値に等しいだということを書きました。これは、効用曲線の傾きが消費者にとっての財の価値を示す限界効用*1を示していたのを2財のケースに当てはめたもの…

家計の行動:2財のケース(11)限界代替率の図示

昨日書いたように、財の価値を別の財の何単位と等しいのかと形で消費者の財に対する選好を表したものを限界代替率といいます。この限界代替率を下図の無差別曲線を用いて説明します。最初消費者の保有する財の量が点Aで表されるものとします。点AはU=10の無…

家計の行動:2財のケース(10)財の価値をどう測る?(2財のケース)

前回、2財の消費に関する効用最大化を無差別曲線と予算制約線を用いて示しましたが、今日からは効用最大化条件について考えていきます。以前書いたように、1財のケースでは、効用最大化条件は限界効用=市場価格であり、市場価格は財を購入するためのコスト…

家計の行動:2財のケース(9)効用最大消費量の図示

これまで、予算の範囲内で消費者が購入可能な財の組み合わせを示した予算制約線と消費の組み合わせとそれによって消費者の得る効用水準の組み合わせを示した無差別曲線について書いてきました。この二つの図を重ね合わせることによって予算の範囲内で消費者…

微分(7)導関数の公式(3)

前回、前々回と導関数の公式を紹介してきました。一番重要な導関数の公式は公式3ですが、残りの公式は公式3の補足と思ってください。これは、x^a(xのa乗)の導関数である公式3の捕捉でx^aの前にbという係数がついている場合、導関数はbに公式3を掛…

家計の行動:2財のケース(8)無差別曲線の形状(2)

前回、無差別曲線の4つの特徴の内3つについて説明しました。今日は残りの一つの特徴について説明します。3)原点に対して凸(原点に向かって出っ張った形)この特徴は、消費者の消費に対する次のような選好から生じています。b)どちらかの財に偏った消費より…

微分(6)導関数の公式(2)

昨日は定数や線型関数の導関数について書きましたが、次の公式は非常に重要な微分の公式です。これは、なぜそうなるかというよりこういうもんだと覚えてしまいましょう。具体的にはこういう手順でやりましょう。例えばy=f(x)=x^2(xの2乗)の関数の導関数はf…

微分(5)導関数の公式(1)

前回説明したように、導関数とはy=f(x)のxと微分係数の関係を示した関数です。一般的に、「関数を微分する」とは、導関数を求めることを意味します。y=f(x)の具体的な数式が与えられていれば導関数は公式を用いて導出されます。まずは簡単な導関数の公式から…

家計の行動:2財のケース(7)無差別曲線の形状(1)

昨日述べたように、消費の組み合わせとそれによって消費者の得る効用水準の関係を示した無差別曲線の形状には主に次のような特徴を持ちます。1)右下がり 2)原点から遠い無差別曲線ほど効用水準は高い 3)原点に対して凸(原点に向かって出っ張った形) 4…

微分(4)導関数

前回、微分係数について書きました。 微分係数とは、y=f(x)の関数において、xが微小1単位増加した時にyが何単位変化するのかを示しており、接線の傾きの大きさによってあらわされます。図1は前回出した図ですが、x=x0のときの微分係数はf'(x0), x=x1,x2…

家計の行動:2財のケース(6)無差別曲線

昨日述べたように、二つの財の消費量とそれによって消費者の得る効用水準との関係を示したものを無差別曲線といいます。これは、下図のように、3次元のグラフである効用曲面の等高線を二つの財の消費量を軸とするグラフで示したものです。上図は効用水準10と…

微分(3)微分係数

前回書いたように、曲線における各時点の瞬間的時速(xが1単位増加した時のyの変化分)は接線の傾きによって表されます。この接線の傾きは次のように導出されます。上図のy=f(x)のグラフについてx=10における点Aにおける接線の傾きを考えます。 まず、点Aと点…

家計の行動:2財のケース(5)効用曲面と無差別曲線

今日からは、消費者が消費によって得る効用水準を示す無差別曲線について書いていきます。消費者はチョコとスナックの消費量に応じて効用(満足度)を得ます。 このようなチョコとスナックの消費量とそれによって得る効用水準の関係をグラフにすると下図のよう…

家計の行動:2財のケース(4)相対価格とトレードオフ

昨日述べた予算制約線についてもう少し詳しく解説していく。下図は昨日示した予算制約線である。予算制約線で重要なのは、両軸との交点の値がM/pyとM/pxになることと、傾きがマイナスpx/pyとなることです。M/pyとM/pxについては別の日に書くとして…

家計の行動:2財のケース(3)予算制約線

今日は、予算の範囲内で消費者が購入することが可能な財の範囲を示す予算制約線について説明していきます。先日出した例題を使って考えていきます。 (例題) 遠足に際し、学校は予算500円以内でお菓子を買うことを許しています。あなたがお菓子を買いにお店に…

家計の行動:2財のケース(2)予算制約下の効用最大化の図示

予算制約下の効用最大化問題をグラフを使って考えます。昨日例題として提示したチョコレートとスナック菓子の消費量の決定を考えます。求めるのはチョコレートとスナック菓子の消費量ですから、それをグラフによって表現するためには、図1の様に、チョコレー…

微分(2)グラフの傾き

微分の話をする前に、グラフの傾きの大きさの話をします。今、時速10kmと一定の速度で走っている車の走行時間x(時間)と走行距離y(km)との関係を考えます。このとき、y=10xの関係が成立していることがわかります。これをグラフ化すると下図のようになります…

家計の行動:2財のケース(1)予算制約下の効用最大化問題

今日からは、複数財の消費の選択について書いていきます。これまでの1財のケースでは、消費者は好きなだけ財を購入することができると考えてきましたが、2財以上のケースでは、消費者は手持ちの予算をどの財の購入に振り分けるかということを考えていくこと…

家計の行動:1財のケース(6)需要曲線

前回、消費者の消費量を決定する(純)効用最大化条件について書きました。 (純)効用最大化条件 限界効用=市場価格 効用最大化条件より、市場価格と消費者の限界効用曲線がわかれば消費者の消費量を導出することができます。図1は、市場価格に応じて消費量が…

家計の行動:1財のケース(5)(純)効用最大化条件

昨日導出した限界効用曲線を用いて、3日前の記事で述べた消費者の消費量の決定を考えてみましょう。図1は、昨日の図3で示された限界効用と消費量の関係を示した棒グラフです。 限界効用とは、消費量を1単位増やしたときの効用(満足度)の増加分を示しており、…

微分(1)微分とは

経済学では微分を多用します。微分とは、ある変数が(微小)1単位変化した時に、他の変数が何単位変化するかを示すものです。例えば、昨日出した費用関数C=c(x) (C:生産費用,x:生産量)だと、生産量が1単位変化したときに生産費用が何単位変化するのかと…

家計の行動:1財のケース(4)限界効用

昨日、効用曲線には次の二つの特徴があると紹介しました。 特徴1:消費量が増加すると効用は増加する。特徴2:消費量の増加に伴う効用の増加分は、消費量が増加するほど減少する。 特徴1は、どんな財でも消費量が増えれば家計の得る効用は増加するという…

関数とグラフ

昨日述べたように、関数とはある変数が与えられると何らかの計算によって別の変数の値が導出されるという関係を示したものです。関数はy=ax+bのような特定の数式によって表されることもあれば、y=f(x)のように抽象的な表現を用いることもあります。関…

家計の行動:1財のケース(3)効用曲線

昨日、消費量の決定について書きましたが、経済学ではグラフを使った分析を多用します。そこで、家計の消費行動をグラフを使ってどのように表現するのかを考えていきます。まずは、家計の消費量と効用との関係をグラフで表しましょう。昨日示したように、消…

家計の行動:1財のケース(2)消費量の決定

昨日述べたとおり、消費者(家計)は財を消費をすることによって効用という満足を得ることができ、自らが支払う市場価格に見合う効用を得ることができるかどうかを考えてザ財をどれだけの量消費するのかを決めます。そのことを踏まえたうえで、昨日書いた消費…