経済数学

限界代替率の導出

経済学で全微分を用いる例として、限界代替率の導出があります。限界代替率は下図が示すように無差別曲線の接線の傾きの絶対値となります。無差別曲線とは、ある一定の効用水準を与えるX財の消費量とY財の消費量の組み合わせを示しています。 一方、限界代替…

全微分

偏導関数は、ある特定の変数以外の変数を一定にしたときに、特定の変数が変化したときの変化分を表すものです。これに対して、すべての変数の変化を対象としたものを全微分といいます。2変数関数y=f(x,z)に関して考えていきます。xに関する偏微分はzを一定に…

多変数関数の極大・極小問題

偏導関数を使って多変数関数の極大・極小問題について考えます。1変数関数に関する極大・極小問題については、ここで述べたように、1階条件と2階条件を用いて極大もしくは極小値を導出します。y=f(x)の極大もしくは極小値を与えるxの値は1階条件f’(x)=0をxに…

偏微分(2):偏微分の方法

偏微分は2変数以上の関数に関する微分です。偏微分で使う公式は微分のとき(こことこことここ)と同じです。そのため、微分ができれば偏微分を使うのはそれほど難しくありません。 偏微分で導出される関数は偏導関数と呼ばれています。例えば、y=(x^2)(z^2)*1…

偏微分(1):偏微分とは

偏微分は、2変数以上の関数に関する微分です。今まで、取り上げてきた関数はy=f(x)というxの1変数関数でした。f(x)の1階微分f’(x)はxが(微小)1単位変化したときにyが何単位変化するかを示したものです。これに対し、y=f(x,z)のような2変数以上の関数を微分…

極大・極小化問題(3)数値例

昨日書いたように、関数の極大・極小値を求める1階条件と2階条件は次のようになります。 1階条件 y=f(x)の極値(極大・極小値)を与えるx*はf'(x*)=0を満たす。2階条件 1階条件を満たすx*がf''(x*)0を満たす時、x*は極小値を与える。 例えば、y=f(x)=(x…

極大・極小化問題(2)1階条件と2階条件

関数y=f(x)の極大値もしくは極小値を与えるxを求めるための条件が1階条件と2階条件と呼ばれるものです。まず、極大値もしくは極小値を与えるxがどういう特徴を持つのかについて下図を用いて考えましょう。上図の(a)と(b)は、それぞれ極小値のケースと極大…

極大・極小化問題(1)極大・極小問題とは?

これまで微分について書いてきましたが、経済学では微分はグラフの形状を示すためのみではなく、極大・極小問題を解くときに使います。経済学では、利潤最大化、効用最大化、費用最小化など何かを最大化もしくは最小化するときの選択を分析するものが多く、…

微分(10)導関数の符号とグラフの形状(例)

前回、導関数と二次導関数の符号によってグラフの形状を表すことができることについて書きました。具体的な例を考えていきましょう。例えば、y=f(x)=x^2+2x+1 (x^2はxの2乗)のグラフの形状は次のようにして考えられます。まず、f(x)の導関数はf'(x)=2x+2と…

微分(9)導関数の符号とグラフの形状

y=f(x)の導関数f'(x)と二次導関数f''(x)の符号を使うことによってグラフの形状を表すことができます。導関数f'(x)は、xが微小1単位増加した時のyの変化分、すなわちy=f(x)のグラフ上の点における接線の傾きの大きさを示しています*1。f'(x)の符号が正とい…

微分(8)二次導関数

二次導関数とは、導関数をさらに微分したものです。y=f(x)の導関数f'(x)がxの微小1単位の増加に対するyの変化分を表しているのに対し、二次導関数はxの微小1単位の増加に対するf'(x)の変化分を表しています。二次導関数は次のような記号で表します。導関…

微分(7)導関数の公式(3)

前回、前々回と導関数の公式を紹介してきました。一番重要な導関数の公式は公式3ですが、残りの公式は公式3の補足と思ってください。これは、x^a(xのa乗)の導関数である公式3の捕捉でx^aの前にbという係数がついている場合、導関数はbに公式3を掛…

微分(6)導関数の公式(2)

昨日は定数や線型関数の導関数について書きましたが、次の公式は非常に重要な微分の公式です。これは、なぜそうなるかというよりこういうもんだと覚えてしまいましょう。具体的にはこういう手順でやりましょう。例えばy=f(x)=x^2(xの2乗)の関数の導関数はf…

微分(5)導関数の公式(1)

前回説明したように、導関数とはy=f(x)のxと微分係数の関係を示した関数です。一般的に、「関数を微分する」とは、導関数を求めることを意味します。y=f(x)の具体的な数式が与えられていれば導関数は公式を用いて導出されます。まずは簡単な導関数の公式から…

微分(4)導関数

前回、微分係数について書きました。 微分係数とは、y=f(x)の関数において、xが微小1単位増加した時にyが何単位変化するのかを示しており、接線の傾きの大きさによってあらわされます。図1は前回出した図ですが、x=x0のときの微分係数はf'(x0), x=x1,x2…

微分(3)微分係数

前回書いたように、曲線における各時点の瞬間的時速(xが1単位増加した時のyの変化分)は接線の傾きによって表されます。この接線の傾きは次のように導出されます。上図のy=f(x)のグラフについてx=10における点Aにおける接線の傾きを考えます。 まず、点Aと点…

微分(2)グラフの傾き

微分の話をする前に、グラフの傾きの大きさの話をします。今、時速10kmと一定の速度で走っている車の走行時間x(時間)と走行距離y(km)との関係を考えます。このとき、y=10xの関係が成立していることがわかります。これをグラフ化すると下図のようになります…

微分(1)微分とは

経済学では微分を多用します。微分とは、ある変数が(微小)1単位変化した時に、他の変数が何単位変化するかを示すものです。例えば、昨日出した費用関数C=c(x) (C:生産費用,x:生産量)だと、生産量が1単位変化したときに生産費用が何単位変化するのかと…

関数とグラフ

昨日述べたように、関数とはある変数が与えられると何らかの計算によって別の変数の値が導出されるという関係を示したものです。関数はy=ax+bのような特定の数式によって表されることもあれば、y=f(x)のように抽象的な表現を用いることもあります。関…

 関数

経済学では、費用関数、効用関数、費用関数など様々な関数を使います。ここで関数について少し説明しておきたいと思います。関数とは、ある変数の値が与えられると、何らかの計算によって別の変数の値が導出される関係があることを示しています。y=f(x)と…

 指数の入った方程式(2)

次の方程式をxについて解いてみましょう。両辺にxが入っているので、左辺にまとめましょう。そのためには、両辺をxの2分の1乗で割ります。そうすることによって、上の方程式は次のように解くことができます。では、次の連立方程式を解いてみましょう。まず…

指数の入った方程式(1)

経済数学では指数が入った方程式を解くことが多い。例えば、次のような方程式でxの値を導出せよと言ったものだ。このように、分数や負の値の指数が入った方程式の解き方は慣れていないと難しいのでしっかりマスターしておきましょう。まず最初に非常に簡単…

指数法則(3)

今日は分数の指数について考えます。xの2分の1乗や3分の2乗というのはいったい何を意味しているでしょうか。分数の指数を理解するために、まずは平方根について触れておきます。平方根とは、ルート2やルート3といったものです。次のように、ルート2とは…

指数法則(2)

一般的に指数とは、同じ数を何回掛け合わせるかという意味で解釈されます。しかし、指数にはマイナス3乗といった負の指数もあれば、2分の1乗という分数の指数も存在しています。同じ数をマイナス3回掛け合わせるとか、2分の1回掛け合わせるとかって訳…

 指数法則(1)

数式を使う経済学では指数の扱い方を知らなければなりません。まずは、基本的な指数法則から説明したいと思います。まずは一番基本的な指数法則から。xのa乗とxのb乗を掛け合わせるとxの(a+b)乗になるというやつですね。これを理解するためには、(例)に挙げ…

指数とは

主にミクロ経済学で使う経済数学について書いていきたいと思います。まずは指数についてです。これは、2の3乗ですよね。この右上に小さくついている数字が指数です。2の3乗というのは2を3回掛けあわせた値を示しています。 つまり、こういうことですね…