2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

家計の行動:所得・価格の変化と消費(10)ギッフェン財

価格の変化に伴う需要の変化(価格効果)は、相対価格の変化に伴う効用水準を得るための支出を最小化するための需要の変化である代替効果と、購買力の変化に伴う需要の変化である所得効果に分解さることをこれまで書いてきました。代替効果は価格が上昇すると…

家計の行動:所得・価格の変化と消費(9)代替効果と所得効果(まとめ)

これまで、価格の変化に伴う需要の変化を示す価格効果が代替効果と所得効果に分解されると述べた上で、代替効果と所得効果が具体的にどのようなものか書いていきました。下図は、1000円の予算を持つ消費者が、X財とY財の価格がともに10円の時にはX財とY財を…

途上国の外貨準備積み増しによる為替レートの安価誘導の動学的経済効果

Undervaluation through foreign reserve accumulation: Static losses, dynamic gains /Voxより (要旨) The large foreign-exchange reserves held by emerging markets continue to stoke debate. This column suggests that reserve hoarding leads to a …

限界代替率の導出

経済学で全微分を用いる例として、限界代替率の導出があります。限界代替率は下図が示すように無差別曲線の接線の傾きの絶対値となります。無差別曲線とは、ある一定の効用水準を与えるX財の消費量とY財の消費量の組み合わせを示しています。 一方、限界代替…

全微分

偏導関数は、ある特定の変数以外の変数を一定にしたときに、特定の変数が変化したときの変化分を表すものです。これに対して、すべての変数の変化を対象としたものを全微分といいます。2変数関数y=f(x,z)に関して考えていきます。xに関する偏微分はzを一定に…

家計の行動:所得・価格の変化と消費(8)所得効果

前回、代替効果について書きました。今日は所得効果について書いていきます。下図は、前回示した代替効果を示す図です。予算が1000円で、X財とY財の価格がともに10円であるときの家計の効用を最大化させる消費量が点Aだったのだけれども、X財の価格が20円に…

家計の行動:所得・価格の変化と消費(7)代替効果

前回は、支出最小化問題について書きました。ある一定の効用水準を得るために必要な最小支出は、限界代替率と相対価格の等しいこところで決まります。このことは、財価格が変化すると、支出を最小とする消費の組み合わせも変化することを示しています。代替…

多変数関数の極大・極小問題

偏導関数を使って多変数関数の極大・極小問題について考えます。1変数関数に関する極大・極小問題については、ここで述べたように、1階条件と2階条件を用いて極大もしくは極小値を導出します。y=f(x)の極大もしくは極小値を与えるxの値は1階条件f’(x)=0をxに…

自国通貨建て現地債券市場の重要性

Gulf Cooperation Council local currency bond markets and lessons from East Asia /VOXより (要旨) The countries of the Gulf Cooperation Council were hit hard by declining oil prices during the global crisis. This column argues that East Asia…

家計の行動:所得・価格の変化と消費(6)支出最小化問題

前回、価格の変化に伴う家計の消費需要の変化を示す価格効果は、代替効果と所得効果に分解されると書きました。まずは代替効果についてから説明したいところですが、その前に支出最小化問題について書いていきたいと思います。これまで書いてきたことは、限…

偏微分(2):偏微分の方法

偏微分は2変数以上の関数に関する微分です。偏微分で使う公式は微分のとき(こことこことここ)と同じです。そのため、微分ができれば偏微分を使うのはそれほど難しくありません。 偏微分で導出される関数は偏導関数と呼ばれています。例えば、y=(x^2)(z^2)*1…

家計の行動:所得・価格の変化と消費(5)価格効果=代替効果+所得効果

前回、価格の変化に伴う予算制約線のシフトとそれに伴う消費の変化について書きました。下図は、X財の価格がpx-からpx+に上昇するときの消費の変化を示しています。価格の上昇に伴い、消費者の効用最大化点は点Aから点Bに移動しますから、X財の価格の上昇に…

The Beatles "I wanna hold your hand"

僕が一番好きなミュージシャンは間違いなくThe Beatlesだ。この曲はBeatlesがアメリカ進出を果たした記念すべき曲です。ゴスペル風のコーラスを取り入れたサビが印象的です。ジョンとポールの息のあったコーラスがいいっすよね。Beatles 1アーティスト: The …

家計の行動:所得・価格の変化と消費(4)価格の変化に伴う消費量の変化

これまでは所得の変化に伴う消費の変化について書いてきましたが、今回からは価格の変化に伴う消費の変化について書いていきます。所得の変化のときと同様に、価格が変化するときにも価格の変化に伴って予算制約線がどのようにシフトするのかを考えていきま…

偏微分(1):偏微分とは

偏微分は、2変数以上の関数に関する微分です。今まで、取り上げてきた関数はy=f(x)というxの1変数関数でした。f(x)の1階微分f’(x)はxが(微小)1単位変化したときにyが何単位変化するかを示したものです。これに対し、y=f(x,z)のような2変数以上の関数を微分…

家計の行動:所得・価格の変化と消費(3)上級財と下級財

前回、所得の変化に伴う消費量の変化について書きました。下図が示すように、所得が変化すると予算制約線の位置が変わり、それに伴い予算制約線と無差別曲線との接点である効用最大化点がどこに移るかによってX財とY財の消費量がどのように変化するのかがわ…

レピッシュ「めがねの日本」

レピッシュといえば「スカ」。スッチャスッチャってギターが刻むリズムが「スカ」の語源って聞いたことがある。高校時代、当時大学生だった姉がレピッシュのファンでした。その影響で聞いたんだよね。「ダダダダダダダダダダダダ!ドドドドドドドド毒入り!…

家計の行動:所得・価格の変化と消費(2)所得の変化に伴う消費量の変化

所得の変化に伴う消費量の変化について考えていきましょう。所得が変化すると予算制約線の位置が変わっていきます。それを示したものが下図です。所費者の保有する所得Mが変化すると、チョコとスナックで測った実質所得M/pxとM/pyが変化します。その一方…

極大・極小化問題(3)数値例

昨日書いたように、関数の極大・極小値を求める1階条件と2階条件は次のようになります。 1階条件 y=f(x)の極値(極大・極小値)を与えるx*はf'(x*)=0を満たす。2階条件 1階条件を満たすx*がf''(x*)0を満たす時、x*は極小値を与える。 例えば、y=f(x)=(x…

Merry X'mas Show 1986より "Come Together"

経済学だけじゃなんなんで、好きな音楽のことも書いてみようと思います。1986年のクリスマスに桑田佳祐が中心になって作られた特別番組のオープニングです。松任谷由美、アンルイス、アルフィー、チェッカーズ、吉川晃司、忌野清志朗、泉谷しげるなどそうそ…

極大・極小化問題(2)1階条件と2階条件

関数y=f(x)の極大値もしくは極小値を与えるxを求めるための条件が1階条件と2階条件と呼ばれるものです。まず、極大値もしくは極小値を与えるxがどういう特徴を持つのかについて下図を用いて考えましょう。上図の(a)と(b)は、それぞれ極小値のケースと極大…

極大・極小化問題(1)極大・極小問題とは?

これまで微分について書いてきましたが、経済学では微分はグラフの形状を示すためのみではなく、極大・極小問題を解くときに使います。経済学では、利潤最大化、効用最大化、費用最小化など何かを最大化もしくは最小化するときの選択を分析するものが多く、…

家計の行動:所得・価格の変化と消費(1)予算制約線と実質所得

これまで、消費者が与えられた予算と価格の下で、自らの効用を最大にする消費量をどのように決定するのかについて書いてきました。今回からは、所得(予算)や財の価格が変化した時に消費者の効用を最大にする消費量がどのように変化するのかについて書いてい…

微分(10)導関数の符号とグラフの形状(例)

前回、導関数と二次導関数の符号によってグラフの形状を表すことができることについて書きました。具体的な例を考えていきましょう。例えば、y=f(x)=x^2+2x+1 (x^2はxの2乗)のグラフの形状は次のようにして考えられます。まず、f(x)の導関数はf'(x)=2x+2と…