自国通貨建て現地債券市場の重要性

Gulf Cooperation Council local currency bond markets and lessons from East Asia /VOXより

(要旨)
The countries of the Gulf Cooperation Council were hit hard by declining oil prices during the global crisis. This column argues that East Asia has shown how viable local bond markets are essential to weather future crises when bank lending collapses. While it will be a long process requiring strong political will, the time for the “plumbing” work is now.

(訳)
 湾岸協力会議(GCC)諸国は世界金融危機に伴う原油価格の下落によって大きな痛手を被っている。このコラムでは、東アジアの例から銀行貸し出しが急減するような将来起こりうる危機を乗り越えるためには、活発な現地債券市場が必要であることを論じている。それは、強い政治的意思を伴った長い調整過程が必要ではあるが、やるなら今だ。

発展途上国は、経済発展に必要な資金を対外借り入れによって調達することが普通だ。しかし、通貨危機や今回の様な世界的な金融危機が発生すると、国際資本市場からの資金調達が困難になり苦境に立つことになってしまう。

そのような資金調達が困難になる状況を防ぐためには国内の債券市場を整備すべきだということをこのコラムでは主張されている。

このコラムでは、東アジア諸国が1997年のアジア通貨危機以降国内の債券市場を整備し育成したことが、今回の世界金融危機の痛みを和らげるのに大きな役割を持ったと述べ、原油価格の下落に伴う原油収入の落ち込みに苦しむ中東諸国も国内の債券市場を育成するべきだと主張している。そうすることによって、金融危機が発生した時に政府や企業などの資金調達が苦境に立たされることを防ぐことができるというわけだ。

また、インフレの抑制などのマクロ経済の安定にも国内の債券市場が果たす役割が大きいこともこのコラムでは述べられている。

今日はこの辺で