極大・極小化問題(1)極大・極小問題とは?

これまで微分について書いてきましたが、経済学では微分はグラフの形状を示すためのみではなく、極大・極小問題を解くときに使います。

経済学では、利潤最大化、効用最大化、費用最小化など何かを最大化もしくは最小化するときの選択を分析するものが多く、その際に極大・極小問題を用いることになります。

極大・極小問題は、最大・最小化問題とも言われます。厳密に言うと極大・極小と最大・最小は違います。

図1の(a)と(b)にはそれぞれ放物線が描かれています。(a)のグラフを見るとy=f(x)の関数について、x=x*のときにy(=f(x))の値は最小になっていることがわかります。このとき、x=x*のときにy=f(x)は極小(最小)値をとるといいます。反対に、(b)のグラフを見るとy=f(x)はx=x*のとき極大(最大)値をとることがわかります。図1のケースにおいては、極大・極小と最大・最小とは同じ意味になります。なぜなら、すべての実数の範囲においてx=x*のときにyは最大もしくは最小になるからです。

図2は極大・極小と最大・最小の違いを示したものだ。図のy=f(x)のグラフにおいて、点Aの周辺の中ではx=x*のときにyは最大になることがわかる。このような局地的に見ると最大となるときのことを極大という。同様に点Bの周辺の局所においてはx=x**のときyは最小になる。このような局所的に最小になることをを極小という。しかし、y=f(x)のグラフ自体は図を見るとxがある程度大きくなるとxが増えるほどどんどんyの値は上昇するし、xがある程度小さくなるとxが小さくなるにしたがってyの値がどんどん減少していくことがわかる。このため、すべての実数の範囲の中でy=f(x)を最小もしくは最大にするxの値はx*やx**ではないことがわかる。しかし、経済学で考えるのはそのようなすべての実数の範囲内でyを最大もしくは最小になるようなxを求めるのではなく、局所的な最大・最小を与える極大・極小なのである。

今日はこの辺で