家計の行動:所得・価格の変化と消費(8)所得効果

前回、代替効果について書きました。今日は所得効果について書いていきます。

下図は、前回示した代替効果を示す図です。予算が1000円で、X財とY財の価格がともに10円であるときの家計の効用を最大化させる消費量が点Aだったのだけれども、X財の価格が20円に上昇する事によって、点Aの消費を実現するために必要な消費支出額は1500円に増加してしまった。しかし、相対価格の高くなったX財の消費量を減少させる一方で、相対価格の低くなったY財の消費量を増加させることによって、価格変化前の効用水準U1を得るために必要な支出額は1400円に減少させることが可能である。そのときの消費の組み合わせが点Bとなるというわけだ。この、点Aから点Bへの消費の変化が代替効果となるのだ。

このように、代替効果によって効用水準U1を得るために必要な最小支出額は1400円となるわけだが、実際の予算は1000円であり、予算制約線は上図の緑色の太線となるのである。つまり、代替効果によって支出を減らそうとしても、U1を得るための支出額は当初の予算の1000円を上回ってしまうのである。このことは、X財の価格の上昇によって価格変化前の効用水準U1を得ることができなくなってしまうことを意味している。

この価格変化前の効用水準U1を得るための最小支出額と1400円と実際の予算1000円の差が購買力(実質所得)の低下となるのである。この購買力の低下に応じた消費の変化が所得効果となる。これは、図1の1400円の等支出線上の支出最小化点Bから、実際の予算制約線である緑色の太線への変化で示される。

所得効果は、以前説明した所得に応じた消費の変化と同じであるため、その財が上級財か下級財でその方向は決まってくる。両財とも上級財であるときは、購買力の低下によって消費の組み合わせは点Bからみて左下に動くことになるでしょう。X財が上級財、Y財が下級財のときには購買力の低下によってX財の消費量が減少する一方でY財の消費量は増加する事になるので消費の組み合わせは点Bから見て左上に、反対にX財が下級財、Y財が上級財のときには購買力の低下によって消費の組み合わせは点Bから見て右下となるでしょう。それを示したものが下図です。

今日はこの辺で