家計の行動:所得・価格の変化と消費(3)上級財と下級財

前回、所得の変化に伴う消費量の変化について書きました。

下図が示すように、所得が変化すると予算制約線の位置が変わり、それに伴い予算制約線と無差別曲線との接点である効用最大化点がどこに移るかによってX財とY財の消費量がどのように変化するのかがわかります。

上図では、所得がM‐からM+に増加する事によって予算制約線が外側にシフトし、それに伴って効用最大化点が右上に移動しています。このことより、所得の増加に伴いX財とY財の消費量が増加する事がわかります。

しかし、所得の増加に伴って両財の消費量が常に増えるとは限りません。

下図では、所得の増加に伴って効用最大化点が左上に移動しています。これは、所得の増加に伴って、Y財の消費が増加する一方でX財の消費が減少することを意味しています。

次の図では、所得の増加に伴って効用最大化点が右下に移動しています。これは、所得の増加に伴って、X財の消費が増加する一方でY財の消費が減少することを意味しています。

このように、所得の増加に伴って需要が増加する財と減少する財がそれぞれ存在します。

所得が増加すると需要が増加するような財を上級財、所得が増加すると需要が減少する財を下級財といいます。

上級財:所得が増加すると需要が増加する財
下級財:所得が増加すると需要が減少する財

下級財は劣等財とも呼ばれ、品質の低い財を指すことが多いです。例えば、食事を考えると、所得が増えるほど高級食材の消費が増える一方で、品質の劣る食材の消費は減少していくことが容易に想像できますが、このとき高級食材は上級財、品質の劣る食材を下級財というわけです。

このことより、図2はY財が上級財、X財が下級財のケースを、図3はX財が上級財、Y財が下級財のケースであることがわかります。
一方、図1はX財とY財がともに上級財であることを示しています。2財のケースでは両財とも下級財であるケースはあり得ません。

今日はこの辺で