家計の行動:所得・価格の変化と消費(9)代替効果と所得効果(まとめ)

これまで、価格の変化に伴う需要の変化を示す価格効果が代替効果と所得効果に分解されると述べた上で、代替効果と所得効果が具体的にどのようなものか書いていきました。

下図は、1000円の予算を持つ消費者が、X財とY財の価格がともに10円の時にはX財とY財をともに50個ずつ消費する点Aを効用最大化の結果選択していたが、X財の価格が20円に上昇することによって、X財の消費量は25個減少して25個に、Y財の消費量は価格変化前と同じく50個を効用最大化の結果選んでいることを示している(点C)。このとき、価格効果は下図の矢印が示すように、X財の消費は25個減少となる一方で、Y財の消費は変化しないということになっている。

この価格効果を代替効果と所得効果に分解したものが下図です。

当初、点Aの消費をしていた家計は、X財の価格が20円に上昇したことによって今までと同じ点Aの消費をしようとすると1500円支出しなければならなくなります。しかし、相対価格の高くなったX財の消費を20単位減少する一方で、相対価格の安くなったY財の消費を30単位増加させることによって家計は価格変化前に得ていた効用水準U1を1400円で得ることができるようになります(点B)。このような点Aから点Bへの変化が代替効果となります。

代替効果によって、家計は価格変化前の効用水準を得るための支出を最小化しますが、それでもU1の効用水準を得ようとすると1400円と予算の1000円以上の支出が必要となります。このことは、X財の価格上昇によって家計の購買力が低下したために価格変化前の効用水準を得ることができなくなったことを意味します。この購買力の低下に伴う消費の変化が所得効果になります。図2はX財もY財も上級財のケースであり、所得効果によってX財の消費は5単位減少する一方で、Y財の消費は30単位減少しています。

このように、相対価格の変化に伴う効用水準を得るための支出を最小化しようとする代替効果と、購買力の変化に伴う消費の変化を示す所得効果の合計が価格効果となるのです。

今日はこの辺で