微分(3)微分係数

前回書いたように、曲線における各時点の瞬間的時速(xが1単位増加した時のyの変化分)は接線の傾きによって表されます。

この接線の傾きは次のように導出されます。

上図のy=f(x)のグラフについてx=10における点Aにおける接線の傾きを考えます。
まず、点Aと点Cを結ぶ直線の傾きを考えます。点Aから点Cに変化すると、xの値は(30-10=)20単位増加するのに対し、yの値は(300-100=)200単位増加するため、x1単位の増加につきyは(yの変化)200/(xの変化)20=10単位増加することより、点Aと点Cを結ぶ直線の傾きは10となります。
同様に、点Aから点Bに変化すると、xの値は(30-20=)10単位増加するのに対し、yの値は(140-100=)40単位増加するため、x1単位の増加につきyは(yの変化)40/(xの変化)10=4単位増加することより、点Aと点Cを結ぶ直線の傾きは4となります。

このように、直線の傾きを測るためには、2つの点におけるyの変化とxの変化を求めてx1単位の変化におけるyの変化分を求めます。(直線の傾き)=(yの変化分)/(xの変化分)となります。

この直線の傾きを測るための2点を限りなく点Aに近づけるとき、それが接線の傾きをなります。

数学的に説明すると次のようになります。

上図のy=f(x)のx=x0における点A(x0,f(x0))からxがΔx単位増加した時の点D(x0+Δx,f(x0+Δx))の二つの点の直線の傾きを測ると(yの変化)f(x0+Δx)-f(x0)/(xの変化)Δxとなります。このΔxの大きさをゼロに近づけるほど点Dは点Aに近づくことになります。そして極限まで点Dが点Aに近づくとき、その直線の傾きは点Aにおける接線の傾きとなるのです。

これを数式的に書くと次のようになります。

limというのは極限を示す記号で、その下にあるΔx→0というのは、Δxの値をゼロに極限まで近付けた時の値というのを意味します。

このようにして求められた接線の傾きの値のことを微分係数といいます。微分というのはxの微小1単位当たりのyの変化分を意味しています。

微分係数の値はf'(x0), f'(x1), f'(x2)などで表されます。f’の「’」はy=f(x)の微分係数を示しており、f'(x0)はx=x0における微分係数(接線の傾き)、f'(x1)はx=x1、f'(x2)はx=x2における微分係数(接線の傾き)を示しています。

今日はこの辺で