家計の行動:2財のケース(11)限界代替率の図示

昨日書いたように、財の価値を別の財の何単位と等しいのかと形で消費者の財に対する選好を表したものを限界代替率といいます。

この限界代替率を下図の無差別曲線を用いて説明します。

最初消費者の保有する財の量が点Aで表されるものとします。点AはU=10の無差別曲線上の点であることから、点Aによって消費者の得る効用水準は10単位となります。

今、消費者の保有するチョコの量が1単位増加すると、消費者の財の保有量は点Bとなります。点BはU=15の無差別曲線上の点であるため、点Bによって消費者の得る効用水準は15単位となります。

点Aと点Bを比べると消費者の効用水準は5単位増加していることから、消費者にとってチョコ1単位の価値は効用水準5単位に等しくなることがわかります。

一方、点Bからスナック菓子の保有量が4単位減少すると、消費者の財の保有量は点Cとなり、このときの消費者の効用水準は10単位となります。

点Bと点Cを比較すると、スナック菓子の保有量が4単位減少することによって消費者の効用が5単位減少することから消費者にとってスナック菓子5単位の価値は効用水準5単位となることがわかります。

このことをつなげると、消費者にとってチョコ1単位の価値=効用水準5単位=スナック菓子4単位の価値となります。このことから、消費者にとってチョコ1単位とスナック菓子4単位が同じ価値を持っていることが分かります。このとき、(スナックに対するチョコの)限界代替率は4となります。

このようにチョコの保有量が1単位増えたときに、何単位のスナック菓子の消費量が減れば効用水準が最初の水準に戻るかということで限界代替率は表現されます。このように考えていくと下図のように無差別曲線の接線の傾きが限界代替率に対応することがわかります。

上図における無差別曲線の接線の傾きはチョコが微小1単位増えるときにスナック菓子が何単位減少するのかを示しています。このとき、消費者にとってチョコ(微小)1単位とスナック菓子何単位の価値が等しいか示すことになります。
例えば、点Aにおける無差別曲線の傾きはマイナスαとなりますが、これは消費者にとってチョコ(微小)1単位とスナック菓子α単位が同じ価値を持つことを示しているため、消費者にとっての限界代替率はαとなります。
同様に点Bにおける無差別曲線の傾きはマイナスβとなることから点Bにおける消費者の限界代替率はβとなります。

このように、消費者の限界代替率は消費者の保有する消費点を通る無差別曲線の接線の傾きの絶対値となります。

今日はこの辺で