家計の行動:2財のケース(12)限界代替率逓減の法則

前回、スナック菓子で表したチョコの価値を示す限界代替率とは無差別曲線上の点を通る接線の傾きの絶対値に等しいだということを書きました。

これは、効用曲線の傾きが消費者にとっての財の価値を示す限界効用*1を示していたのを2財のケースに当てはめたものです。

限界効用は消費者の保有する財の量によって変わってきます。消費者の保有する財の量が少ない時、消費者にとってはその財の限界効用は高く、保有する財の量が多い時にはその財の限界効用は低くなります。これは、消費者が保有している財の量が少ない財ほど価値を高く置くという希少性を重視していることを意味しています*2

これと同様に、スナック菓子とチョコのケースにおいては、消費者はスナック菓子に比べてチョコを豊富に保有している時にはスナック菓子に価値を高く置き、反対にチョコに比べてスナック菓子を豊富に保有している時にはチョコに価値を高く置くことになります。

これを図示したものが下図です。

図内の点Aと点Bを比較すると、点Aはチョコの消費量が少ないのに対しスナック菓子の消費量が豊富である一方、点Bはスナック菓子の消費が少ないのに対しチョコの消費が豊富であることがわかります。
無差別曲線上における接線の傾きの絶対値が限界代替率となることから点Aと点Bにおける限界代替率はそれぞれαとβとなるため、点Aにおいて消費者はチョコ1単位とスナック菓子α単位を同じ価値に、点Bにおいて消費者はチョコ1単位とスナック菓子β単位を同じ価値と考えていることがわかります。
α>βとなることから、スナック菓子で測ったチョコの価値は点Aの方が高いことがわかります。
つまり、消費者は、チョコの消費量が少なくスナック菓子の消費量が豊富なときにはチョコに価値を高く置き、チョコの消費量が豊富でスナック菓子の消費量が少ない時にはチョコの価値を低く置く事がわかります。逆に言うと、チョコの消費量が少なくスナック菓子の消費量が豊富なときにはスナック菓子の価値を低く置き、チョコの消費量が豊富でスナック菓子の消費量が少ない時にはスナック菓子に高い価値を置く事がわかります。

下図のように、無差別曲線で右下がりで原点に対して凸であるとき*3、無差別曲線の接線の傾きは、右下の点に移るほど小さくなることがわかります。
これは、スナック菓子の消費量が減少し、スナック菓子の消費量が増加するほど限界代替率が減少することを意味しています。
このことを限界代替率逓減の法則と言います。

今日はこの辺で

*1:ここの図4を参照

*2:ここの図6を参照

*3:無差別曲線の形状についてはここここここを参照