家計の行動:2財のケース(6)無差別曲線

昨日述べたように、二つの財の消費量とそれによって消費者の得る効用水準との関係を示したものを無差別曲線といいます。これは、下図のように、3次元のグラフである効用曲面の等高線を二つの財の消費量を軸とするグラフで示したものです。

上図は効用水準10と20の無差別曲線を示しています*1。点Aの消費の組み合わせ(チョコ10個,スナック40個)によって消費者は10単位の効用を得ることができます。同様に、点Bの消費の組み合わせ(チョコ50個,スナック10個)も消費者に10単位の効用を与えます。一方、点Cの消費の組み合わせ(チョコ30個,スナック30個)は消費者に20単位の効用を与えます。

このように、無差別曲線を用いることによって、両財の消費の組み合わせによって消費者の得る効用水準を知り、どの消費の組み合わせが消費者にとって望ましいか比較をすることができます。例えば、消費者が図のような無差別曲線をもつとき、点Aと点Bの消費の組み合わせと点Cの消費の組み合わせを比較するとき、点Cの方が消費者にとっては明らかに望ましい消費となることがわかります。

一方、点Aと点Bの消費を比較するとき、消費者はどちらの方が自分にとって望ましいか選ぶことはできません。これは点Aと点Bの消費の組み合わせが全く同じ効用水準を与えるため、消費者にとってはどっちでも同じ結果となるからです。このとき、消費者は点Aと点Bを差別することができないわけで、このような同じ効用水準を与える、すなわち差別することができない消費の組み合わせをつなぎ合わせたものが"無差別"曲線となるのです。

一般的に無差別曲線次のような特徴をもつものとされています。

1)右下がり
2)原点から遠い無差別曲線ほど効用水準は高い
3)原点に対して凸(原点に向かって出っ張った形)
4)個々の無差別曲線は交わらない

これは消費者の消費に対する選好を反映したものです。どういうことかは明日以降書いていきます。

今日はこの辺で

*1:もちろん効用水準が1,5,30などすべての値について無差別曲線は存在しています。