微分(9)導関数の符号とグラフの形状

y=f(x)の導関数f'(x)と二次導関数f''(x)の符号を使うことによってグラフの形状を表すことができます。

導関数f'(x)は、xが微小1単位増加した時のyの変化分、すなわちy=f(x)のグラフ上の点における接線の傾きの大きさを示しています*1f'(x)の符号が正ということはxが増えればyが増加するということであり、グラフ上の点の接線の傾きが正であること、すなわちy=f(x)のグラフが右上がりであることを示しています。
反対にf'(x)の符号が負ということはxが増えればyが減少するということであり、グラフ上の点の接線の傾きが負であること、すなわちy=f(x)のグラフが右下がりであることを示しています。
そして、f'(x)の値がゼロとなるということはxが増えてもyが変化しないということであり、グラフ上の点の接線の傾きがゼロであること、すなわちy=f(x)のグラフの傾きが水平であることを示しています。

次に、二次導関数f''(x)はxが微小1単位増加した時の導関数の値f'(x)の変化分を示しています。
f''(x)の符号が正ということは、xの増加によってf'(x)の値が増加することを意味しており、f''(x)の符号が負ということは、xの増加によってf''(x)の値が減少することを意味しています。

これらのことより、導関数と二次導関数の符号を示すことでグラフの形状を表すことができます。

図1の3つのグラフはともにf'(x)>0が満たされています。このため、3つのグラフとも右上がりになっています。
しかし、グラフの曲がり方は3つのグラフでそれぞれ異なります。それは二次導関数f''(x)の符号が異なるからです。

左端のグラフはf''(x)の符号が正のケースです。f''(x)が正ということはxの増加に伴ってf'(x)の値が増加する、すなわち接線の傾きが増加していくことを意味します。このため、y=f(x)のグラフはxの増加に伴ってグラフの傾きがきつくなっていくのです。
次に、真ん中のグラフはf''(x)の符号が負のケースです。f''(x)が負ということはxの増加に伴ってf'(x)の値が減少する、すなわち接線の傾きが減少していくことを意味します。このため、y=f(x)のグラフはxの増加に伴ってグラフの傾きがゆるくなっていきます。
最後に、右端のグラフはf''(x)の値が常にゼロとなるケースです。f''(x)の値がゼロということはxが増加してもf'(x)の値が変わらない、すなわち接線の傾きが変わらないことを意味しています。このため、y=f(x)のグラフは直線となります。

図2の3つのグラフはともにf'(x)<0となっており、ともに右下がりのグラフとなっています。

左端のグラフはf''(x)の符号が正のケースです。f''(x)が正ということはxの増加に伴ってf'(x)の値が増加する事を意味します。しかし、ここで注意してほしいことは負の傾きには関しては、マイナス10やマイナス20などf'(x)の値が小さい方がマイナス2やマイナス1などf'(x)の値が大きい時より傾きがきつくなることです。このことよりf'(x)が負となるケースでは、f'(x)の値が大きくなるほど傾きは緩くなっていきます。
次に、真ん中のグラフはf''(x)の符号が負のケースです。f''(x)が負ということはxの増加に伴ってf'(x)の値が減少するため、y=f(x)の傾きはきつくなっていきます。
最後に、右端のグラフはf''(x)の値が常にゼロとなるケースです。f''(x)の値がゼロということはxが増加してもf'(x)の値が変わらないためy=f(x)のグラフは直線となります。

図3の二つのグラフは放物線を示しています。左のグラフでは常にf''(x)の値は正となっています。このため、f'(x)の値はxの増加に伴って常に増加していきます。
xがx*よりも値が小さい時、f'(x)の値は負でxの増加に伴って増加していくのでグラフの傾きは緩やかになっていきます。そして、x=x*のとき、f'(x)の値はゼロとなり、接線の傾きは水平になります。そしてxがx*を上回ると、f'(x)の値は正となりxの増加に伴って増加することになるのでグラフの傾きはきつくなっていきます。
一方、右のグラフでは常にf''(x)の値は負となっています。このため、f'(x)の値はxの増加に伴って常に減少していきます。
xがx*よりも値が小さい時、f'(x)の値は正でxの増加に伴って減少していくのでグラフの傾きは緩やかになっていきます。そして、x=x*のとき、f'(x)の値はゼロとなり、接線の傾きは水平になります。そしてxがx*を上回ると、f'(x)の値は負となりxの増加に伴って減少することになるのでグラフの傾きはきつくなっていきます。

図4は常にf'(x)が正の値であり、y=f(x)のグラフは右上がりなんですが、x***の値を境にf''(x)の符号が変わるために、グラフの曲がり方が変わります。x<x***のときにはf''(x)<0となっているためグラフの傾きがxの増加い伴って緩くなっていくのに対し、x>x***のときにはグラフの傾きがxの増加に伴ってきつくなっています。

このように、導関数f'(x)と二次導関数f''(x)の符号を使うことによってグラフの形状を表すことができるのです。

今日はこの辺で











*1:ここを参照。