家計の行動:2財のケース(4)相対価格とトレードオフ

昨日述べた予算制約線についてもう少し詳しく解説していく。

下図は昨日示した予算制約線である。予算制約線で重要なのは、両軸との交点の値がM/pyとM/pxになることと、傾きがマイナスpx/pyとなることです。

M/pyとM/pxについては別の日に書くとして、今日は傾きのマイナスpx/pyについて書いていきます。

px/py=(チョコの価格)/(スナックの価格)のような価格の比率のことを(チョコのスナックに対する)相対価格と言います。

このような相対価格は、予算を使い切った状態でのチョコの消費とスナックの消費のトレードオフを表しています。トレードオフとは、何かを得ようとすると何かを犠牲にしなければならないことを意味しており、この場合はチョコの消費を増やそうとするとスナックの消費をあきらめなければならないことを示しています。

下図は昨日示した予算500円、チョコの価格20円、スナックの価格10円のときの予算制約線を示しています。

上図で、消費者が現在チョコを10個、スナックを30個消費しているものとします。このとき消費者は予算を使い切っている状況です。この状態からもし消費者がスナック菓子の消費量を10個減少させるとき、予算は(スナックの価格10円)×10個=100円分浮きます。この100円で、消費者はチョコの消費量を100円÷(チョコの価格20円)=5個増やすことができます。

このように、消費者が予算を使い切っている状況でスナック菓子の消費量を10個減少させることによってチョコの消費量を5個増加させることができます。
言いかえると、予算を使い切っている状況からチョコの消費量を5個増やすためには、スナック菓子の消費量を10個あきらめなければならないことを上図は示しています。

このことを応用すると、チョコの消費量を1個増やすためには、スナック菓子の消費量を2個あきらめなければならないことがわかります。
この2個というのは(チョコのスナックに対する相対価格)=20/10=2に等しくなります。これは、スナック菓子の消費量を2個あきらめるとき予算が価格10円×2個=20円浮き、それによって価格20円のチョコを1個買うことができるためです。

このように、チョコのスナックに対する相対価格とは、チョコの消費量を1単位増やすためにあきらめなければならないスナックの量を示しています。これは、スナック菓子で測ったチョコの購入費用を意味します。

話を予算M円、チョコの価格をpx円、スナックの価格をpy円のケースに戻します。
このとき、チョコの消費量を1単位増やすためにはpx円必要ですが、そのためにはスナック菓子の消費量をpx円/(スナックの価格py円)=px/py個あきらめなければなりません。
このことより、チョコのスナックに対する相対価格px/pyは、スナック菓子で測ったチョコの購入費用を意味することがわかります。

今日はこの辺で