家計の行動:1財のケース(4)限界効用

昨日、効用曲線には次の二つの特徴があると紹介しました。

特徴1:消費量が増加すると効用は増加する。

特徴2:消費量の増加に伴う効用の増加分は、消費量が増加するほど減少する。

特徴1は、どんな財でも消費量が増えれば家計の得る効用は増加するというもので、直感でも理解できる仮定だと思います。

では、特徴2は何を意味するのか。「消費量の増加に伴う効用の増加分」とは、消費量が1単位増加したときに効用がどれだけ増加するのかということを示しています。
財の消費が1単位から2単位に増加したときに効用は何単位増加するのか、2単位から3単位に増加したときには何単位か、ということです。

2日前に示した図1を使うと「消費量の増加に伴う効用の増加分」とは次のようになります。

このように、消費が1単位することによる効用の増加分のことを限界効用といいます。

特徴2を言い換えると、「限界効用は、消費量が増加するほど減少する」ということになります。このように、消費量が増加するほど限界効用が減少する事を、限界効用逓減と言います。

限界効用を昨日の棒グラフで示すと下図の濃い青い部分となります。

このように図示すると、消費量の増加によって限界効用が減少する事がわかります。
この図から、消費量と限界効用の関係を図示すると次のようになります。

効用曲線が下図のような滑らかな曲線のとき、限界効用は接線の傾きの大きさとなります。消費量x1のときの限界効用の大きさは、点Aにおける接線の傾きの大きさであるαとなります。

図4で示されるように、限界効用が逓減するということは、消費量が増加するほど接線の傾きが減少する事を意味します。このことを図示したものが、消費量xに応じた限界効用の関係を示した限界効用曲線です。

限界効用逓減は、消費者にとっての財の価値は、消費者がすでに何単位の消費を行っているかによって異なることを示しています。

消費量が少ないときには、消費者にとってその財の価値は高く、消費を1単位増加させることによって効用は大きく増加します。
これに対し、すでに十分たくさんの量を消費しているとき、消費者にとってはその財の価値は低くなっており、そのため消費を1単位を増加しても効用はそれほど上がりません。

これは、消費者が希少性を重視していることを意味しています。手元に保有している財の量が少ないとき、消費者にとってその財は価値あるものであり、十分豊富に保有しているとき、消費者にとってその財の価値は低いものとなるのです。これは、現実の消費者の嗜好にも合っているものと考えられます。

今日はこの辺で