外資が日本から離れていく

先週、外資の対日進出が増えているという記事を書いたが、今度はそれと真逆の話。日本経済新聞2月18日付1面より 外資、日本離れ加速、対日投資、11年流出超、円高・低成長で。 外資系企業が日本を敬遠する動きが強まっている。2011年の対日直接投資は…

国際収支発展段階説について(2)

こことここからの続きです。国際収支発展段階説では、経済発展に応じて、一国が債務国から債権国になるにつれて国際収支の黒字・赤字項目の構成が変化することを示されている。債務国とは、対外純債務を抱えている国であり、債権国は対外純資産を保有してい…

外資の対日進出が増えている?

日本経済新聞2月9日付1面より 外資、対日工場進出の動き、投資見込み計430億円に――ジェトロ調べ。 外国企業による日本への工場進出の動きが広がっている。東日本大震災からの復興関連需要が見込めるうえ、日本の大手企業の工場閉鎖や縮小で自治体が積極的…

Paul McCartney "My Valentine"

本屋で音楽雑誌を見たらPaul McCartneyの姿がちらほら見えたので、どうしたのかと思ったら、最近New Albumを出したようだ。キス・オン・ザ・ボトムアーティスト: ポール・マッカートニー出版社/メーカー: ユニバーサルミュージック発売日: 2012/02/08メディ…

国際収支について

国際収支発展段階説について説明する前に、国際収支について説明しておきたいと思います。国際収支とは、国境を越えた経済取引を記載したもので、経常収支と資本収支から構成されます。経常収支とは、国境を越えたモノ・サービスの取引、および所得移転につ…

国際収支発展段階説について(1)

昨日書いた黒字が消えるでは、去年の日本の貿易収支が赤字化したことを受けて、経常収支黒字を維持することができるのかということが新聞で取り上げられていることを紹介した。このような議論の際によく用いられているのが1月27日付の日本経済新聞の記事でも…

黒字が消える

1月26〜28日付の日本経済新聞1面で、「黒字が消える」という連載記事が掲載されていた。 これは、2011年における日本の貿易収支が赤字化したことを受けて書かれたものだ。 簡単なポイントをまとめると次のようになる。 2011年に貿易収支が赤字化した主因は、…

日本国際経済学会関西支部研究会での報告

1月28日(土)に梅田で開かれた日本国際経済学会関西支部研究会で“Technology Spillover, Absorption Capacity and Strategic R&D Location Decision by Multinational Firms”と題した研究報告を行いました。内容は、去年末に神戸大学で行った研究報告と同じで…

学習院大学教授・鈴木亘のブログ

先日紹介した「社会保障を通じた世代別の受益と負担」の論文を書いた鈴木亘学習院大学教授のブログを紹介しておきます。 学習院大学教授・鈴木亘のブログ(社会保障改革の経済学) 迷走を続ける社会保障改革へ怒りの提言社会保障問題に関心のある方はどうぞ…

グローバル化する就職活動

日本経済新聞1月23日付15面より 国境なき就活 活躍できる職場を求め、海外で就職先を探す若者が目立ってきた。閉塞感のある日本を飛び出して向かうのは、アジアの新興国。高度成長のまっただ中に身を置く高揚感があり、世界市場を肌で感じながら働くことがで…

社会保障における世代間格差

先日書いた"少子高齢化がもたらす政策課題"で、少子高齢化が進むと世代間格差が問題になると書きましたが、そのことに関する論文を見つけたので紹介しておきます。鈴木-増島-白石-森重(2012) 「社会保障を通じた世代別の受益と負担」ESRI(内閣府経済社会総合…

少子高齢化がもたらす政策課題

1月17〜19日の日本経済新聞の経済教室で、『人口動態が迫る政策』と題して、西村清彦日銀副総裁、小峰隆夫法政大教授、加藤久和明治大教授の3人が少子高齢化が進む世界経済における政策課題について書かれていた。彼らの論文に共通している背景は、日本経済…

オフショアリング(海外アウトソーシング)が国内の賃金格差に与える影響

VOXよりServices offshoring increases wage inequalityを読みました。 (要旨)The effects of offshoring on wages remain a hotly debated issue. This column explores the case of UK firms between 1992 and 2004, recognising that offshoring in one p…

神戸大学で研究報告をしました。

12月20日に、神戸大学で開かれた六甲フォーラムで、"Technology Spillover, Absorption Capacity and Strategic R&D Location Decision by Multinational Firms: Policy Implications for Attraction of Firms"という題の研究報告をしました。この研究は、神…

The Beatles "Magical Mystery Tour"

i-TuneのThe BeatlesのCMを最近見かけるようになりましたね。Beatlesのオリジナルアルバムのジャケットをつなぎ合わせたCMですが、うまくできているなあと思います。ちなみに、CMで流れている曲はMagical Mystry Tourです。やっぱBeatlesは最高やね。今日は…

FTA/EPAと投資協定

12月11日付日本経済新聞朝刊1面より 日中韓、FTA交渉へ、来夏にも、投資協定は月内合意―日韓EPAも再開で調整。 日中韓3カ国が来夏にも自由貿易協定(FTA)締結に向けた交渉を始める見通しとなった。近く作業を終える日中韓FTAに関する共同研究…

 人材鎖国から労働市場のグローバリゼーションの時代へ

12月3日付日本経済新聞9面より 海外人材の活用・育成が最低水準 日本「鎖国」くっきり 経済のグローバル化が進む中、日本企業が国際競争力を保ち、成長を維持していくためには優秀な人材をいかに確保するかが重要なカギを握る。だが、データからは日本企業の…

企業のR&D活動とアウトソーシングの形態の選択

Ito-Tomiura-Wakasugi(2011) “Technological Knowledge and Offshore Outsourcing: Evidence from Japanese firm-level data” RIETI Discussion Paper Series 11-E-052 を読みました。 (概要) 企業の外部委託による調達活動は国際競争力を高める手段として…

低賃金諸国との競争が先進国の輸出品の品質に与える影響

VOXよりLow-wage countries competition, intra-firm reallocation, and the quality content of French exportsを読みました。 (要約) With exports from low-wage countries like China on the rise, the question of what this means for trade and job…

産学連携促進政策と産学連携によって開発される技術の質について

Motohashi-Muramatsu(2011) "Examining the University Industry Collaboration Policy in Japan: Patent analysis", RIETI Discussion Paper Series 11-E-008を読みました。 (概要) 本稿は、日本の特許データを用いて、1990年代の後半から導入された産学連…

知的所有権の強化が多国籍企業の子会社から受け入れ国の現地企業への技術普及に与える影響

VOXよりIntellectual property rights protection and FDI knowledge diffusionを読みました。知的所有権がイノベーションや技術普及(Knowledge Diffusion)*1に与える影響には、正の部分と負の部分があると言われています。正の部分としては、知的所有権によ…

日本企業によるオープンイノベーションの決定要因

西村淳一=岡田羊祐(2011)「日本企業による特許・ノウハウライセンスの決定要因」RIETI Discussion Sereies 11-J-012を読みました。 ノンテクニカルサマリー 欧米からの技術導入に依拠したイノベーションへの依存から脱却した多くの日本企業は関連技術の多く…

中間財貿易の増加が貿易に関する議論に与える影響

VOXより、Trade in intermediates and economic policyを読みました。 (要約) Intermediate inputs – the parts and materials imported to make products for consumption domestically and abroad – are a growing force in world trade. This column ar…

中国との貿易が欧州のイノベーションを促進している

VOXよりWho’s afraid of the big bad dragon? How Chinese trade boosts European innovationを読みました。 (要約) Chinese exports are often blamed for job losses and firm closures in developed economies. This column tracks the performance of …

Wikipediaに引用されました。

知らない間に、wikipediaのTPPに関する項目で、以前書いた記事「輸入自由化がもたらす経済利益(砂糖を例にとって)」が引用されていました。 「識者の間でも評価は分かれている。例えば、竹中平蔵[32]や、高橋洋一[33]、藤沢数希[34]、大川良文[35]らは好意的…

イノベーションと企業存続、企業成長との関係について

元橋一之(2011)「事業所・企業統計と特許データベースの接続データを用いたイノベーションと企業ダイナミクスの実証研究」RIETI Discussion Paper Series 11-J-009を読みました。 (要旨) 本稿は事業所企業統計と特許データベースを接続して、日本における…

R&D活動に従事した労働者の企業間移動に伴うスピルオーバー効果について

Maliranta-Mohnen-Rouvinen(2009) “Is inter-firm labor mobility a channel of knowledge spillovers? Evidence from a linked employer–employee panel”, Industrial and Corporate Change Vol.18, No.6, pp.1161-1191を読みました。 Abstract An employer…

Jamiroquai 「White Knuckle Ride」

最近、多忙につきブログ更新する間がないので、大好きなJamiroquaiのPVを貼っておきます。It's Coooool!

新興国における国際資本移動規制について

VOXよりRegulating capital flows to emerging markets: Design and implementation issuesを読みました。 世界金融危機以後、韓国やブラジルなど新興国では、外国からの資本流入に対して課税の強化などの規制を強めている。これは、金融危機後、先進国から…

産業クラスターと地域内技術連携ネットワークの中核としての製品開発型中小企業

RIETI(経済産業省) Policy Discussion Paper Series 10-p-030の児玉俊洋氏(日本政策金融公庫)の「製品開発型中小企業を中心とする産業クラスター形成の可能性を示す実証研究」を読みました。 (概要) これまでわが国の強みを形成してきた製造業では、既存の中…