オフショアリング(海外アウトソーシング)が国内の賃金格差に与える影響
VOXよりServices offshoring increases wage inequalityを読みました。
(要旨)The effects of offshoring on wages remain a hotly debated issue. This column explores the case of UK firms between 1992 and 2004, recognising that offshoring in one particular industry may also affect labour demand in other industries. It suggests that services and materials offshoring increase the wages of high-skilled workers and decreases the wages of low- and medium-skilled workers, thus contributing to a rising wage inequality.
(訳)オフショアリングが賃金に与える影響は、依然議論の的となる話題である。このコラムは1992〜2004年の12年間の英国企業に関する調査について述べている。この調査では、オフショアリングが起こった産業内の影響のみでなく、他産業の労働需要に与える影響までも調査している。その結果、対企業サービスと中間財のオフショアリングは高技能を持った労働者の賃金を上方させる一方で、低技能、中技能労働者の賃金を低下させるために、国内の賃金格差を拡大させることが分かった。
生産工程や事務仕事の国外移転のことをオフショアリングもしくは海外アウトソーシング(外注)と言いますが、このようなオフショアリングの増加が、中流階級や未熟練労働者の仕事の減少を通じて国内格差の拡大につながっているという批判が最近多くあります。このBlog記事では、キール世界経済研究所のHolger Görg教授らが、オフショアリングが国内の労働賃金に与える影響について英国のミクロデータを用いて分析した研究の結果が紹介されています。
その結果、世間で言われているように、オフショアリングの増加は高技能を持った労働者の賃金を上昇させる一方で、低技能、中技能労働者の賃金は低下させることによって国内の賃金格差を広げていることが明らかにされています。
今日はこの辺で