神戸大学で研究報告をしました。

12月20日に、神戸大学で開かれた六甲フォーラムで、"Technology Spillover, Absorption Capacity and Strategic R&D Location Decision by Multinational Firms: Policy Implications for Attraction of Firms"という題の研究報告をしました。

この研究は、神戸大学の大学院生の松岡君との共同研究で、外資企業のR&D活動の国内誘致政策の経済効果について分析したものです。年明けにはWorking Paperの形にし、海外の論文誌に投稿する予定です。

外資企業のR&D活動の誘致政策については、最近の新聞に次の様な記事が載っていました。

日本経済新聞12月22日付1面より

外資10社日本に拠点 ボルボや3M 研究開発部門など 政府が誘致
経済産業省は21日、スウェーデンボルボや米化学大手スリーエム(3M)など外資10社が日本に研究開発などの拠点を新設すると発表した。ハイブリッド(HV)仕様の大型トラックや日本市場向け医療関連製品など高付加価値商品を生み出す拠点となる。外資企業の誘致を目指す政府の「アジア拠点化戦略」が本格的に動き出す。

 経産省は、日本に研究開発やアジア地域統括といった高付加価値拠点を新設する外国企業を対象とする補助金の交付対象に10社を選んだ。早い企業では来春をめどに拠点を立ち上げる。

ベルギーの非鉄金属大手ユミコアは、自動車向け触媒の研究開発拠点を置く。日本の自動車各社と組み、欧州向けディーゼル車用の触媒を開発する狙い。自動車部品産業では国内各社からの受注を目指し、日本で研究開発に力を入れる傾向がある。

 仏医薬品大手のサノフィ・アベンティスは、日本と韓国、オーストラリア、ニュージーランドの4カ国の統括拠点を日本に置く。現在アジア太平洋地域の統括拠点があるシンガポールから一部機能を移す。

 外資企業全体の日本拠点は減少傾向だ。2004年は進出企業が撤退企業を33上回ったが、09年は82社の流出超過。なかでも製薬大手は、英グラクソスミスクラインや米ファイザー、スイス系ノバルティスなどが研究所を閉鎖。中国にアジアの拠点を開設する動きがある。

 アジア各国で企業誘致合戦が激化する中で、政府は補助金や税制優遇などを盛り込んだ外資企業誘致の政策パッケージを策定した。

 ただ税制優遇のために必要な「アジア拠点化推進法案」は国会審議が進まず、たなざらしの状態。今回進出する企業も税制優遇は受けられない見通しだ。

記事内にあるように、世界の各国は、優れた技術を持つ外国企業を自国に誘致しようと、補助金支給や税制優遇などの企業誘致政策を積極的に行っています。その中で、日本も他国に負けじと外資誘致政策を行おうとしています。
今回の私の研究はこのような外資誘致政策の有効性や外資誘致競争の持つ経済的意味について分析したものです。

詳しい内容はまたWorking paperが出来上がってから書きたいと思います。

今日はこの辺で