国際経済学
国際経済学―国際貿易編 (Minervaベイシック・エコノミクス)作者: 中西訓嗣出版社/メーカー: ミネルヴァ書房発売日: 2013/03/01メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (1件) を見る神戸大学時代にお世話になった先生が書かれた国際貿易論のテキ…
前回、TPPへの参加に先だって自動車分野において日米で二国間協議が行われることとなったと書いた。日本がTPPに参加するためには、米国議会に交渉参加を認められなくてはならない。そのため、米国が特に関心のある事項に関しては、TPP本交渉に参加する前に事…
昨日の記事で日本の製造業は国内生産は増えているのにもかかわらず国内就業者数は減少していることを示した図を紹介した。普通に考えると、国内生産が増加すると国内雇用も増加するように思われるのだが、これはどういうことだろうか?まず注目すべきは労働…
多忙につき4カ月ほどBlog更新を怠っていました。ぼちぼち再開していきます。最近、送っていただいた新版の国際経済学のテキストです。[rakuten:booxstore:10979108:detail]リーマンショックやユーロ危機など最近の世界金融危機の話題まで書かれており、わか…
こことこことこことここからの続きです。(4)未成熟債権国 前回書いたように、経済発展の初期段階の国は、国内開発のための投資のための資金需要が大きいが、国内貯蓄が少ないために、国内投資のための資金を外国に依存する。このため、資本収支は黒字とな…
こことこことここからの続きです。いよいよ、経済発展段階に応じた国際収支の変化に関する説明をしていく。(1)未成熟債務国 国際収支発展段階説の初期段階は未成熟債務国である。 経済発展の初期段階とは、国内の生産力が低く、国内需要を国内生産で賄え…
こことここからの続きです。国際収支発展段階説では、経済発展に応じて、一国が債務国から債権国になるにつれて国際収支の黒字・赤字項目の構成が変化することを示されている。債務国とは、対外純債務を抱えている国であり、債権国は対外純資産を保有してい…
国際収支発展段階説について説明する前に、国際収支について説明しておきたいと思います。国際収支とは、国境を越えた経済取引を記載したもので、経常収支と資本収支から構成されます。経常収支とは、国境を越えたモノ・サービスの取引、および所得移転につ…
昨日書いた黒字が消えるでは、去年の日本の貿易収支が赤字化したことを受けて、経常収支黒字を維持することができるのかということが新聞で取り上げられていることを紹介した。このような議論の際によく用いられているのが1月27日付の日本経済新聞の記事でも…
知らない間に、wikipediaのTPPに関する項目で、以前書いた記事「輸入自由化がもたらす経済利益(砂糖を例にとって)」が引用されていました。 「識者の間でも評価は分かれている。例えば、竹中平蔵[32]や、高橋洋一[33]、藤沢数希[34]、大川良文[35]らは好意的…
去年12月24日に行った講義で、産業内貿易の利益は多様性の利益にあると説明しました。講義前半で説明した部分均衡分析や一般均衡分析による貿易利益の説明では、製品をいかに安く大量に消費できるかということが貿易による経済利益の重要な要因でした。これ…
前回のリプチンスキー定理に続いて、今度はストルパー=サミュエルソン定理を具体的な数値例を使って示してみよう。 前回のリプチンスキー定理と同様に、両財の労働投入係数と資本投入係数を下表のように仮定する。両財の単位生産費は、財を1単位生産するの…
12月20日の講義で述べたリプチンスキー定理について、具体的な数値例を使って示してみます。第1財を労働集約財、第2財を資本集約財と仮定して、各財の労働投入係数と資本投入係数が下表のようになっていたと仮定する。このとき、ある国の労働賦存量と資本賦…
12月23日の講義で述べたストルパー=サミュエルソン定理は、ある財の価格が上昇するとき、その財に集約的に投入されている生産要素の価格が上昇する一方で、そうでない生産要素の価格は低下するというものであった。このストルパー=サミュエルソン定理は、…
前回の続きです。前回述べた比較優位について持たれている誤謬は次の3つです。1.自国が外国との競争に耐えうるほど強いとき初めて、自由貿易は有益である。2.外国との競争が低賃金に基づくものならば不公正で他の国々を害する(貧民労働論)3.他の国の…
12月13日の講義で述べた比較優位に関する誤謬について改めて詳しく書いておこうと思います。この誤謬はクルーグマン=オブスフェルドのテキスト「国際経済学」よりの引用です。クルーグマン国際経済学 (経済学大系シリーズ)作者: Paul R.Krugman,Maurice Obs…
図1は一般均衡分析を用いた貿易均衡を図示したものである。図1では、この国において第1財と第2財がそれぞれy1**単位とy2**単位生産されており、x1**単位とx2**単位消費されている。このため、貿易量を測ると、第1財については国内消費が国内生産を上回ってい…
11月22日の国際経済論の講義で触れた日本にやってくる専門技術を持った外国人労働者が減少していることを報じた日経の記事を紹介します。 専門職外国人日本を素通り 在留資格取得、ピークの半分以下に(日本経済新聞11月22日付3面)専門的な知識などを持って日…
TPPの経済効果に関する農水省の試算についてでは、TPPの参加による農産物の輸入関税の撤廃が、国内の農業生産の減少を通じて日本のGDPを減少させるが、その大部分は家計の農作物に対する支出の減少となるため、他の国内生産物に対する需要を生み出し農業生産…
11月8日の講義でお話ししたTPP参加に伴う経済効果に関する農水省の試算について書いておきます。TPP(環太平洋経済連携協定)の参加に関して、農水省は、TPPの参加に伴い農産物に関する輸入関税が撤廃されると、農業生産が年間4.1兆円減少、自給率は14%(現在…
今日は、10月25日の講義で説明した貿易利益について、より詳しく解説したい。図1内の左図は、ある財市場について閉鎖経済均衡時の市場均衡における各余剰の大きさを示したものである。この時の市場価格は20、この財の国内における生産量と消費量は200単位と…
10月25日の講義では、閉鎖経済時と自由貿易均衡時の社会的余剰を比較することによって貿易利益を説明した、図を使うと貿易の開始によって社会的余剰が増加することは明確だが、余剰の変化について本質的なことを理解しなければ貿易利益をしっかり理解したこ…
選挙の経済学作者: ブライアン・カプラン,奥井克美,長峯純一出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2009/06/25メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 137回この商品を含むブログ (34件) を見る去年訳本が出たブライアン・カプランの『選挙の経済学』(原題:The My…