一般均衡分析における貿易収支均衡

図1は一般均衡分析を用いた貿易均衡を図示したものである。

図1では、この国において第1財と第2財がそれぞれy1**単位とy2**単位生産されており、x1**単位とx2**単位消費されている。このため、貿易量を測ると、第1財については国内消費が国内生産を上回っているためx1**−y1**単位の輸入が行われる一方で、第2財については、国内生産が国内消費を上回っているためy2**−x2**単位の輸出が行われている。

このように、国内の生産と消費のギャップを埋め合わせるために貿易がおこなわれるわけだが、輸出量と輸入量は別々に勝手に決まるものではない。一般均衡分析においては輸出額と輸入額は常に等しくなるように、すわなち貿易収支(輸出額−輸入額)が均衡する(貿易収支=ゼロとなる)ように決定されることになる

このことは、この国の国民所得が国内の生産額p1**y1**+p2**y2**に等しいことと、国民所得という予算制約の下で効用を最大化するように消費を決めるため、国民所得すべてが消費として使われ、国民所得が消費支出額p1**x1**+p2**x2**に等しくなることからきている。
国内生産額と消費支出額が国民所得に等しいことは国内生産額と消費支出額も等しくなることを意味しており、このとき次の式が成り立つ。

p1**y1**+p2**y2**=p1**x1**+p2**x2**

これを変形すると次のような式となる。

p1**(y1**−x1**)=p2**(x2**−y2**)

この左辺は、第1財の価格と輸入量を掛け合わせたものであり、輸入額を示している。一方、右辺は第2財の価格と輸出量を掛け合わせた輸出額を示している。つまり、この式は第1財の輸入額と第2財の輸出額が等しくなっていることを意味しているのだ。一般均衡分析においては国内生産額と消費支出額は常に等しくなっているため、上式は常に成立しており、このため貿易収支は常に均衡していることがわかる。

このように、一般均衡分析においては、輸出額と輸入額は常に等しくなっており、貿易収支は均衡している。このことは、図2が示すように、生産点において生産された状態から第2財を輸出し、それによって得た収入によって第1財が購入されることで生産点と消費点は離れていくことを意味している。第1財と第2財の輸出入はばらばらに決まっているのではなく、貿易収支が均衡するように決まっているのである。第1財を1単位輸入するためにはp1**円必要であるが、1円の収入を得るためには第2財を1/p2**単位輸出しなければならないため、第1財を1単位輸入するために必要な第2財の輸出量はp1**/p2**単位となる。このため、生産点と消費点を結ぶ直線の傾きは−p1**/p2**となる。

今日はこの辺で