労働生産性とは

昨日の記事で日本の製造業は国内生産は増えているのにもかかわらず国内就業者数は減少していることを示した図を紹介した。

普通に考えると、国内生産が増加すると国内雇用も増加するように思われるのだが、これはどういうことだろうか?

まず注目すべきは労働生産性の変化だ。労働生産性とは実質GDP/就業者数で表され、労働者一人当たりの生産量を意味している。労働生産性が上昇するということは、今までと同じ量を生産する際に必要な労働者の数が少なくなることを意味する。上の図でも示されているように、日本国内の生産量(実質GDP)が増加しているのに対し、国内就業者数が減少しているため、日本の労働生産性は上昇傾向にあり、1990年からの20年で労働生産性が倍近くに上昇していることが分かる。つまり、現在1990年と同じ生産を行おうとすると当時と比べて半分の労働者で生産を行うことが可能ということなのだ。

労働生産性が上昇する理由としては次のようなさまざまなものが考えられる。

  1. 生産工程を工夫して改善したり、生産設備を新しく性能のよいものに置き換えることによって、同じ工程を今までよりも少ない労働者で行うことができるようになった。
  2. これまでよりも性能がよく消費者の嗜好に合った高付加価値製品(単価の高い製品)を作ることができるようになったため、同じ労働者で得られる収入が高くなった。
  3. 今まで労働者が行っていた生産工程を機械化することによって、今までよりも少ない労働者で生産が可能となった。

1と2は、生産技術の進歩を意味しているが、1が生産工程の改善を意味しているのに対し、2は単価の高い新製品の開発を意味している。これに対して、3はこれまで労働者が行っていた仕事を機械(資本設備)に置き換えることによって労働投入が少なくなるということであり、労働が資本に代替されていることを意味している。

人によっては、労働生産性が向上するということは、これまでよりも少ない労働者で同じ生産が実現することであり、このため労働が必要でなくなり失業が発生するという、労働生産性の向上=雇用の減少・失業の増大と考える人がおり、労働生産性を向上させるような政策は意味がないという意見もあるが、本当にそうなのだろうか?

次回は労働生産性と雇用の関係について書いてみたいと思う。

今日はこの辺で。