製造業の海外投資と国内雇用・生産の関係

12月22日に内閣府が公表したミニ白書『日本経済2012-13−厳しい調整の中で活路を求める日本企業−』で、最近の日本企業の海外投資の拡大と、それが産業構造や雇用に与える影響に関して分析を行っている。

上図は白書内で示された日本の製造業の海外生産・従業員比率と国内での生産・就業者数・労働生産性の動向である。
これを見ると、90年代以降日本の製造業の海外生産・従業員比率が急速に高まっていることがわかる。このような海外生産の高まりは、国内の生産・雇用の縮小という「空洞化」をもたらすと考えられている。上図を見ると90年代以降、国内の製造業生産は増加しているが就業者数が減少していることが分かる。このため、生産に関しては空洞化は進展していないが、雇用に関しては空洞化が進展していると解釈することができる。

さらに、産業ごとの海外生産比率と国内雇用と生産の関係を示した上図を見ると、輸送機械が海外生産比率が高まっているのにもかかわらず国内雇用と生産をほぼ維持しているのに対し、電気機械の海外生産比率の高まりに対する国内就業者の縮小と国内生産の拡大が非常に大きくなっていることが分かる。一般機械や化学も同様の動きを見せているが、電気機械ほど大きなものではない。繊維は海外生産比率はそれほど高くないが、国内就業者数と国内生産がともに大きく減少している。特に雇用の減少が大きいのがわかる。

このような製造業における海外生産の高まりと国内雇用の減少についてどうとらえればいいのか。次回以降でもう少し深く考えてみたいと思います。

今日はこの辺で