家計の行動:1財のケース(1)効用最大化問題とは
今日から、本格的なミクロ経済学の説明を始めます。
ミクロ経済学で学ぶことで述べたように、ミクロ経済学は価格に応じて消費者と生産者がどのように消費量と生産量を決めるのかという、各経済主体の行動について学んだ上で、市場経済の効率性について学んでいきます。
というわけで、まずは経済主体である消費者が、市場価格に応じてどのように財*1の消費量を決めるのかについて考えていきます。
まずは、非常に単純な問題から考えて行きたいと思います。
(問題)
財布に十分なお金を入れて、あなたは店にスナック菓子を買いにいきました。店では1個120円でスナック菓子が売られていました。あなたはいくつスナック菓子を買うでしょう。
どうでしょうか?この問題をいったいどのように考えればいいのか。
財布には十分なお金が入っているので、あなたは好きなだけお菓子を買うことができます。
では、財布の中のお金を全部使ってスナック菓子を買えるだけ買いましょうか?いえいえ、そうするとスナック菓子以外のものが買えなくなるのでもったいないですよね。
では、どうしましょうか。そもそも、あなたは何を基準にスナック菓子を買うのかという判断基準が必要ですね。
経済学では、消費者は消費によって効用を得ると考えます。効用というのは、消費によって得る満足度を表す経済学的用語です。
消費者は市場価格に等しいお金を支払い、それによって効用という満足を得るのです。このため、消費者は自分が支払った価格分の満足すなわち効用を得ることができるかを考えて消費量を決めることになります。
スナック菓子を消費することによって120円分以上の満足感を得ることができるのであれば、あなたは喜んで市場価格の120円を支払ってそのお菓子を購入するでしょう。反対に、スナック菓子を消費しても120円分以上の満足感を得られないのであれば、スナック菓子を購入しようとしないでしょう。このように考えながら、スナック菓子の購入量を決めると経済学では考えるのです。
これは、スナック菓子のみに限らず、すべての消費について当てはまる考え方です。例えば、1着2000円の服をあなたが購入する時、あなたはその服を買うことによって2000円分以上の効用を得ていると考えられます。実際の買い物では、2000円支払って購入した服が実際に着てみると、2000円払った分の満足感を得ることができなかったなんてケースも多いですが、経済学ではこのような買い物を考慮することはありません。
明日は、この効用についてより詳しく扱っていきます。
今日はこの辺で
*1:経済学では、消費者が消費する製品のこと財と呼びます。