大西洋版TPP???

日本経済新聞7月11日付7面より

米・EU、包括協定検討、FTA締結も視野、大西洋版TPP、日本の政策に影響。
オバマ政権と欧州連合(EU)が、自由貿易協定(FTA)の締結も視野に包括的な経済連携協定を検討していることがわかった。環太平洋経済連携協定(TPP)の大西洋版ともいえる枠組みで、世界の国内(域内)総生産(GDP)の5割近くを占める巨大な自由貿易圏に発展する可能性がある。世界貿易機関WTO)交渉の深刻な行き詰まりが背景にあり、日本などの通商政策にも影響を及ぼしそうだ。
(中略)
経済協定の形態について米通商代表部高官は9日、日本経済新聞の取材に対し「最も効果的な形を慎重に協議している」と述べた。米当局の間では物品の関税やサービスの障壁を段階的に削減もしくは取り除く「いわゆるFTAの形が軸になる」(別の米政府高官)との見方が強まっている。
 米・EUが念頭に置くのは、韓国と米・EUがそれぞれ締結したFTAとされる。EU・韓FTAでは、2018年夏までに双方が工業製品の関税を全廃するなど高度な自由化にこぎ着けた。これを踏まえ、米・EUは部会で関税以外にも投資規制撤廃や知的財産保護、サービス分野などの広範な交易促進策の協議を進めている。
 将来的にFTAを柱に人、モノ、カネを自由化する包括的な経済連携協定に広げる方向が強いとみられるが、影響の大きい関税や投資促進など部分的な協定から始める可能性もある。
米・EUの急接近の背景にあるのは、自由貿易の枠組みづくりを目指した多角的通商交渉(ドーハ・ラウンド)が妥結を断念し、通商政策の大幅な軌道修正を迫られたからだ。
 アジアを中心にTPPの議論が進むなか、成長と雇用を取り込める巨大自由貿易圏は、米欧ともに利点がある。しかし、TPPや韓国とのFTAに米自動車業界などが強く抵抗するのに比べ、「米国内に大きな反対勢力がいない」(米政府筋)ことも追い風となっている。
(中略)
こうした動きに対し、ワシントンの日本政府関係者は「意外なスピードで米・EU(の交渉)が進んでいる」と焦りを隠さない。日本はTPPへの参加表明すらできない手詰まり状況。米・EUの経済連携協定で両市場の本格的な関税撤廃などが進めば、日本企業の競争条件が厳しくなる恐れがある。
 各国・地域の進めるFTA交渉などを刺激し、世界的に経済自由化の流れを後押しする可能性も強まる。
 「(試合の流れを激変させる)ゲームチェンジャーになり得る」(日本外交筋)ことから、日本としてはTPP参加の重要性が一段と強まりそうだ。

これが本当ならかなり重大なニュースだ。
11カ国が参加するTPPに比べて、米国と欧州の2カ国で交渉する方が話は進みやすい。
一番の問題は農業だろう。ここさえ折り合いがつけば、その他の分野に関しては決定的な対立はあまりないように思う。

ただ、米欧のFTAWTOの多角的自由貿易交渉に与える影響は限定的かもしれない。
米国と欧州はともに先進国だから、米国と欧州で合意が形成されても、シンガポール・イシューや環境や労働など南北の意見対立が激しい分野についての議論は進展しなさそうだからだ。
WTOの多角的自由貿易交渉の一番大きな障壁は、先進国と途上国間の意見の対立なので、その分野の話し合いは先進国と途上国が集まるTPPでの取り決めが及ぼす影響が強いだろう。

日本も参加するかしないかで右往左往するより、早く参加して積極的に国際ルールの作成で主導権を発揮するべきだと思うのになぁ。。。

今日はこの辺で