市場経済とは?

市場経済とは一体何なのか、食事を例に考えてみたいと思います。

我々が食事をとる、すなわち料理を消費するためには、食材を調達し、それを調理して料理を作らねばなりません。

ある人は、食材を買ってきて、それを自ら調理するでしょう(いわゆる自炊)。

ある人は、料理を提供してくれるお店に行って、そこでお金を支払って食事をとるでしょう(いわゆる外食)。

また、昔であれば食材を自ら作り自ら調理するという自給自足を行う農民や漁民も多かったでしょう。

自給自足とは、自らが食材の生産者となり、生産した食材を自ら調理という労働を行って、出来上がった料理を消費するということです。この場合、自給自足を行うものは、生産者であり、労働者であり、消費者となります。このとき、市場は全く存在せず、人は自らの気分によって、どれだけの食材を生産するのか、どれだけの手間をかけて料理を作るのかを決めることになります。

しかし、このような自給自足では、作ることのできる食材の種類も限られるし、調理できる料理の種類も限られるでしょう。とてもじゃないが豊かな食生活は望むことができないと思われます。

では、自炊する場合はどうでしょうか?この場合、食材の消費者と生産者が分かれることになります。自炊をする消費者は、市場から生産者の作った食材を調達し、それを自ら調理します。このことによって、消費者は自ら食材を生産するという負担から解放されます。生産者は消費者に比べて食材の生産に関する専門的な技術・知識を持っており、また市場では、一消費者には作ることのできない多種多様な食材が供給されています。このことによって、消費者は自給自足のときと比べて豊かな食生活が実現可能となります。

このように、消費者と食材の生産者が分離し、市場によって結びつくことによって我々の食生活は豊かになります。

さらに、外食をとる場合、消費者は調理という労働からも解放されることになります。調理というのは手間もかかるし、時間もかかる、さらには得手不得手もあります。食材が市場から調達できるとはいえ、消費者の食べることができる料理の種類は消費者の調理の腕前によって制約されるというわけです。

しかし、市場に出れば、専門的な腕前を持った調理人が料理を提供してくれます。外食の供給者は消費者に変わって市場から食材を調達し、それを調理してくれるのです。このことによって、消費者の料理の選択の幅はさらに広がることになるわけです。

このように、市場とは、生産者と消費者を分離、もしくは消費者を労働から解放する事によって豊かな消費生活を実現させるものです。しかし、消費者が自ら生産、そして労働を行う自給自足とは違い、市場経済では、どれだけの食材を生産し、それをどのように調理するのかという選択は消費者が自分の都合によって決めることができません。つまり、消費者が直接生産者もしくは調理人に依頼することはできないのです。

そこで、消費者と食材の生産者、調理人を結びつけるのが市場価格となります。

とりあえず今日はこの辺で。